ふと思うことがあったので、引用してみました。
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誠一郎は、ふと、初めて吉原に到着した夜、自分を取り囲んだ、原因不明の
殺気の渦のことを、思い出した。
(吉原には殺気が多すぎる)
華麗なまでの美しさと限りない優しさの隣り合わせに、強烈な殺気と死の
予感がある。奇妙なのは、それが少しも不思議でないような感じがする
ことだった。
(何故なんだろう)
突然の死に隣り合っているという緊張感が、優しさや美しさを生むのでは
あるまいか。
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とある人は、僕のことを評して、あの人は優しすぎると言ってくれたそうです。
けど、僕はまだ人の死、ってのをよくわかっていません。
あまり立ち会いたくはないけれど、生きていく以上、理解しなければいけない心
なんでしょう。